この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
相談者の親族は、若い時に外国に渡り、現地国の国籍を取得しましたが、日本国籍を離脱する手続きを取っておらず、日本にも戸籍が残っている、いわゆる二重国籍状態が続いていました。その親族の方は、すでに高齢になられているため、「日本に帰国してずっと日本で暮らしたい」という希望を持たれており、どのような方法があるかというご相談でした。
解決への流れ
自らの意思で外国籍を取得した場合、日本に戸籍が残ったままになっていても、法律上当然に日本の国籍を失うことになります。したがって、本当の意味では二重国籍ではないので、日本に住むためには外国人として何らかの在留資格を得るか、再び日本に帰化する必要があります。したがって、外観上有効期限が残っている日本のパスポートで入国したり、外国人として短期滞在などの在留資格で日本に入国した後そのまま何の手続きもせずに日本に滞在し続けると、法的には不法入国や不法滞在に問われることになります。相談者の方にはその旨をよく説明し、法律に違反しないような形で日本にずっと住み続けるには、再び日本人に帰化するという方法が最も確実な方法であること、元々日本人であったことから帰化の要件も緩和されることを説明しました。
日本に戸籍が残っているという外観と、法律上当然に日本国籍を喪失しているという法的実体との間に乖離があるケースで、一般の方には誤解が生じやすいため注意が必要です。日本国籍がまだあると誤解して法的には失効している日本のパスポートを使って入国すると、入管法違反・旅券法違反に問われるリスクがあります。また、外国人として在留資格を得て日本に入国したとしても、在留期間を過ぎても日本に滞在し続けると不法残留になりますので、日本に住み続けるためには、外国人として日本に在留する資格(就労、日本人の配偶者、永住者など)を取得するか、日本人に帰化する必要があります。依頼者の方が法律違反に問われないよう、外国籍取得の法的効果から検討して丁寧に説明することが必要な事案でした。