この事例の依頼主
40代 男性
バイクを運転中に、交差点内で自動車と接触して受傷してしまいました。2か月間の入院を含め、1年以上、治療とリハビリを継続しましたが、完治することは難しい状況でした。特に、めまいの症状がひどく、日によっては立つことが難しいこともあるとのこと。症状の原因もわからず、保険会社への対応にも不安が募り、何をしてよいのかもわからないとのことでご相談いただきました。
診断書の診断名は、脳幹梗塞・下顎骨骨折だったため、診断名から、受傷時に頭部と顔面を強打したことが考えられたので、「高次脳機能障害」が後遺障害として残存する可能性があると考えました。また、自覚されている「めまい」の症状は、小脳やその近くの脳幹が、からだのバランスを保つ働きをするため、小脳近くの脳幹に梗塞があることが原因ではないかと判断しました。そのため、梗塞があるかどうか、あるとしたらどの部分にあるのかを確認するため、頭部MRIとCTの撮影を勧めました。また、高次脳機能障害を疑い、以下のような質問をしました。1.昨日の夕飯は何を食べましたか?2.事故のあとで家族に怒りっぽくなったと言われたりしませんか?3.温かい・冷たいなどの温度を感じますか?4.食事中にのどに詰まるような違和感を感じることはありませんか?心あたりがあると聞き、高次脳機能障害であることの疑いが強くなったため、病院への診察に同席させていただき、医師と高次脳機能障害の可能性について話し合い検査の結果、高次脳機能障害との診断を受けました。後遺障害等級認定の申請を、代理人申請(被害者請求)として行い、後遺障害等級7級4号の認定を受け、自賠責保険金1051万円が支払われました。また、その後、保険会社と交渉し、最終的に5985万円の解決金額で示談に至りました。
後遺障害が残ってしまうようなケガの場合、後遺障害等級認定の申請をいかにきちんと対応するかがポイントです。診断書やカルテの分析、時には主治医との面談を行い、どのような症状なのかを細かく把握します。そのためには医学的知識はもちろんですが、後遺障害についての特別な理解と経験実績が認定を左右します。特に、高次脳機能障害は、外見の変化を伴わないため、見落とされてしまうことが多々あります。今回のご依頼事案も、医師が気づかなかった症状に気づき、医師へかけ合ったことがこの解決へとつながりました。