犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

率直に話しあうこと。そのことで難しい問題を穏やかに解決。

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吉田 榮士 弁護士が解決
所属事務所多摩あおば法律事務所
所在地東京都 立川市

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

A(依頼者)とBは再婚同士。BはAの連れ子の長女と養子縁組をし、その後、AB間にも長男が生まれた。Bは転職を繰り返していたが、中古の戸建て住宅を購入し、Aの実母を呼び5人で暮らしていた。しかし、Bの仕事は安定せず、Aの実母が飲食業をしていた関係で、Aの実母の収入に頼り、かつBはこの母から借り入れをしていた。Bは,仕事が回っているときは住宅ローンやAの実母への返還もできていたが、仕事がとぎれると、クレジットなどで返済していた。その後Bはうつ状態になってきた。養女の結婚を見とどけた後、Bは自殺した。長男はまだ高校生であった。Bの自殺により、保険が適用され住宅ローンはなくなった。Bは前妻との間に一女一男があり、Aとの養女、実子を含め、相続人はAと4人の子どもであった。Bの子どもとAとは一面識もない。遺産は、Bの自殺によりローンがなくなった土地建物だけである。Aとしては、土地建物については、どうしてもAの名義にしたい、しかし、そのほかに資産や預金はない、どうしたらBの子どもらを説得できるか。Aはこの事に思い悩み、相談に来た。

解決への流れ

一面識もない相続人ら、しかも、相続の原因が実父の自殺。これをどう説得できるのか。Bの前妻との子どもらは、いずれもすでに結婚し、子どももいる。とにかく、会って、事実を伝え、理解を求めるしかない。そこで、まずは、当職から手紙を送ることにした。自殺についての率直な事実を示し、家族関係を丹念に説明した上、決して変な家族ではなかったことを強調した。その上で、資産がないこと、資産は土地建物だけであること、その土地建物を現在生活しているA名義にしたいことなどを、数回の手紙で伝えた。手紙は、Bの前妻に対しても送付した。Aは前妻とは面識があった。Bの子どもらの住所は千葉県であったが、3回ほどAと代理人2人で行き、結果として多少の金額を支払うことで、土地建物の名義についてはA名義にする遺産分割協議書を取り交わし、円満な解決をすることができた。

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吉田 榮士 弁護士からのコメント

どうして説得できたのか。一番大きな理由は、Aの率直な態度と言動にありました。Aは、自分の家族の問題を話し、Bの子どもらの苦労談を聞き出し、それを理解し、今の思いを伝えました。代理人の仕事は合いの手を入れる役でした。Aは言葉が巧みなわけではありません。ただ、率直な態度で、子どもらの苦労談も聞き、Bの言動に子どものころから苦労してきたという事実も聞き出し、自殺についても反感を持たれることはありませんでした。そのような話し合いを繰り返し、Bの子どもらは、遺産はいらないとまで言うようになり、これに対して、一定の資産を出す形で、分割の協議はまとまり、円満に話をまとめることができました。こういう解決方法もあるのだと認識した次第です。